僕の失踪

僕はどこにもいない

誰にも見えはしない

どうか構わないでほしい

そのまま放っておいてほしい

見て見ぬ振りでいてほしい

 

僕はどこにもいない

誰にも見えはしない

話せば話すほど誤解され

おかしなイメージができあがり

それを訂正することも許されず

 

ならば口を閉ざして

いっそ姿をくらまして

できれば忘れ去ってほしい 

すっかり忘れ去ってほしい

はじめから知らなかったかのように

 

彼が見ているのは僕なのか

彼女が見ているのも僕なのか

まるっきり別人みたいだ

僕が見ているのは僕なのか

僕が見ているのは誰なのか

 

僕の手に負えないところで

僕が一人歩きをしている

僕が卑下した僕がいて

僕が誇張した僕がいて

そのどちらでもない僕がいて

 

視線が矢のように突き刺さって

身動きが取れないでいた

一歩も踏み出せずにいた

どうだっていいことなのに

僕には関係のない話なのに

 

僕は僕を諦めよう

その目に映る景色を

塗り替えることはできないから

その物差しを取り上げて

曲げることはできないから

 

僕はたくさんいる

人それぞれの中に

それぞれの目で心で

映し出されている

そのどれもが紛れもない僕だ

 

僕はたくさんいる

人それぞれの中に

僕は僕を認めよう

ありのままで笑っていよう

それこそが紛れもない僕だ